【サポート役に徹するべし】新規事業・DX部門の役割

作成日: 21/05/10 08:41
更新日: 21/05/09 08:41

この記事で伝えたい事

新規事業・DX部門は、自らが事業推進の主体者となるよりも、サポート役に徹する方が、中長期的な活動につながる

ここ最近、新規事業やDXを担う専任部門が、多くの大企業で組成されています。既存事業が頭打ちとなり、自社の成長を牽引する新しい事業が真剣に必要だというケースもあれば、「DX」を掲げておかないと時代に乗り遅れるからとりあえず設立した、というケースもあるでしょう。どちらのケースであったとしても、同組織は事業推進の実働部隊として、特にデジタル技術を活用した新規事業開発を行うことが期待されているケースが殆どだと思います。

この記事を書いている人(自己紹介)

はじめまして、片倉健です(略して「カタケン」と呼ばれることが多いです)。私は大学を卒業後、新卒でアクセンチュアという外資系コンサルティング会社に就職し、同社の戦略コンサルタントとしてキャリアをスタートしました。その後、ビジネス書籍の要約サイト「Flier(フライヤー)」の共同創業者として起業家の道に進みました。同社を退職後、大企業向けのコンサルタント経験と起業家の経験を掛け合わせて、「成熟した大組織で新規事業を立ち上げる方法」の研究をスタートしました。それから約7年間、複数のクライアント(レガシー日本企業)に深く関与し、数多くの新規事業の立ち上げを試みました。成熟した大企業で新規事業を立ち上げる際に、現実問題として一体何が起こるのか、その問題を解決するために何をしたのか、この経験から得た知見を共有していきたいと思っています。

その取組みの多くが、3~5年で消滅する

こうした部門が今後どうなるのか(どういう結末を迎えるのか)について、私の推測を話したいと思います。結論から申し上げると、成熟した大企業において、新設された新規事業部門の活動は長続きしません。大企業の場合だと組織の各所でそれらしき部門が何度も立ち上がっては、早くて3年、長くて5年で消えていきます。どうしてこんなことが起こるのでしょうか。また、なぜ続かないのでしょうか。

新規事業開発のステップを最もシンプルな形で表現すると、  ①事業アイデアを出して、  ②それを実行・具現化する、 という2ステップとなります。新しく始まったばかりの組織であれば、まずは活動計画を立てるのが大企業らしい仕事の進め方です。新組織が発表される前に、経営層や管理職によって大まかなスケジュールが引かれている場合もあります。そこには開始から半年程度で、①のアイデア出しのステップを完了する、その後②実行というスケジュールが記されていることでしょう。

早期に結果を出したいマネジメント層(任期が短い)は、出てきた新規事業アイデアのどれかに投資判断をすることになります。1年目の下半期、あるいは2年目にプロダクト開発のための初期的な先行投資が実施されます。さすがにこの段階において赤字を出すことは、「新規ビジネスに初期投資は付き物だ。仕方がない」と皆が納得しています。

上手く進めば、2年目の後半、3年目の初旬には新サービスがローンチされます。そして、大抵の場合、このタイミングから目論見が狂い始めます。初年度に投資判断の意思決定をした際の事業計画には、バラ色の数字が記載されているものです。そして多くの場合、計画通りに物事は進みません。概して日本の経営者は、事業計画通りに進まないことに対する許容度がありません。しかし、事業推進部門からは「結果を出すためには、さらなる事業投資が必要だ」という提案がなされます。

この辺りから、新規事業部門に対する風向きが徐々に変わり始めます。経営層の中で「本当にこれ以上、新規事業に投資するべきかのか?」という疑問があちらこちらで湧き始めます。こうして一度湧いてしまった疑念は止まりません。結果的に3年目は事業計画通りにはならず、4年目を迎えます。判断が早ければ、この段階で見切りをつけるでしょう。

私が見てきた限りでは、新規事業の取組みがとん挫するのは、投資した金額の大小もさることながら、不確実な状況が続くことへのストレスが大きい要因のように思います。経営層にとっては、不確実な事業をやるよりも、たとえ大きなリターンは見込めなくても、予測可能な施策を打ち、計画通りに事業を進める方が安心して日常を過ごせる(株主に説明しやすい)のです。不確実に赤字を垂れ流すのは、通常3~5年が我慢の限界、ということです。程度の差(投資額の大小)こそあれ、多くの大企業において、この流れが繰り返されています。したがって、今回のDX・新規事業ブームも、3年後くらいから徐々に下火になると私は予想しています。

最後まで続けたものが勝つ

新規事業を成功させる方法は、成功するまで続けることです。仮にあなたの会社に長く続いてきた新規事業部門が存在しないのなら、これまでの歴史において尽く失敗してきた過去があるからでしょう。あるいは、不確実な新規事業の投資よりも、確実性の高いコスト削減施策を優先してきたからでしょう。その結果、新規事業を生み出すこと自体のノウハウが溜まりません。毎回、新規事業ブームが起こるたびに、「えいや」で過剰投資を行い、痛い目を見て撤退しているのです。

新しい事業を一定の事業規模に成長させて、軌道に乗せるには、通常5~10年はかかるでしょう。実際に新規事業開発をやってみるとわかるのですが、5年という歳月は意外なほど、あっという間に経過します。毎回3~5年で撤退していたら、ラッキーショットが出ない限り、そもそも成果が出ること自体ないのです。新規事業を成功させるには、とにかく続けることしかないのです。

新規事業部門のメンバーがフルコミットで一つの新規事業を作っているとしましょう。その時点で、最低でも「(平均年収 + 本社費の按分)× 人数」の投資がひとつの事業になされていることになります。これに加えて、システム開発費等の初期投資や販促費等の外注費が加わってきます。

これもよくある話なのですが、数名がフルコミットで検討している新規事業アイデアなのであれば、考えた分だけ必要機能が多くなり、増えた要件につられて初期投資額も大きくなるものです。こうして、一つの事業仮説に対してリスクが一極集中します。その新規事業アイデアが実行フェーズで想定した事業計画とズレた場合に、先に説明した通りの結末を迎えます。要はこのやり方は、リスクが高すぎて持続可能性がないのです。

長く続く仕組みを作る

では、先に挙げた一極集中のリスクを避けるためには、どうすればよいでしょうか。その答えは、

 ①同時に沢山の事業アイデアを検証すること

 ②ひとつのひとつのアイデア検証に極力コストをかけないこと

という二つのテクニックを身に着けることにあります。新規事業の取組みを長続きさせたいのであれば、このコツを組織レベルで学習する必要があります。その学習の役割を担うのが、新規事業部門となります。

具体的にどのように実施するのかについては、別の記事で詳細にまとめています。続きはこちらをご覧ください。

関連記事: 【最強マニュアル】新規事業の立ち上げプロセス

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