ブロックチェーンは日本語で「分散型台帳技術」と呼ばれ、ネットワーク内で発生した取引をブロック単位で時系列に記録する技術です。各ブロックには取引の記録とともに、一つ前に生成されたブロックの内容を示す情報(ハッシュ値)が格納されます。これにより、データの一部を改ざんしても全体の整合性を取ることが困難となります。さらにネットワーク上の取引を記録したデータを参加者が共有するという仕組みも改ざん防止に役立っています。 また、データ管理はP2Pネットワーク(ノードと呼ばれる端末が対等に直接通信する方式)が担っており、特定のサーバーや管理者を必要とせず、障害が発生してもシステムを維持できるという利点があります。
ICTや金融業界におけるトレンドである「FinTech(フィンテック)」は、デジタル技術を活用して新たな金融ビジネスの創出をめざす取り組みです。このFinTechを実現するための技術としてブロックチェーンが注目されています。 ブロックチェーンは、仮想通貨「ビットコイン」を支える技術として誕生しました。公正な取引を記録でき、改ざん耐性が高く、システムダウンが起きない。そうした新しいインフラである仮想通貨の土台となりました。高い信頼性が求められるネットワーク上での金融取引や重要なデータの授受を可能にする「分散型体調技術」として、ブロックチェーンは金融取引以外にも幅広い分野での活用が進められています。 データの改ざんを防ぐ(変更が事実上困難である)ブロックチェーンは、企業がDX化を進めるうえでも有効活用が期待される技術です。特権的な管理者を置かずにネットワークが構築でき、異なる部署や企業間でのデータ連携もスムーズに行えるといったメリットは、電子契約などにも適しています。すでにある基幹システムと連携しながら、部署や企業を超えた共有の参照先として使うこともできます。 ブロックチェーンは、ビジネス拡大や新規事業にあわせてデジタル化を一気に加速させる可能性を持つだけでなく、業務フローの効率化を図るBPRを推進するためにも重要な技術といえます。
ブロックチェーンは、さまざまな業界で活用されています。 安全性の確保を最優先する航空業界では、従来、部品やエンジンの履歴を紙ベースで管理しているため、完全に把握することが難しく、販売やリースに際して使用できない中古品が発生していました。こうした課題に対して航空機エンジンの大手サプライヤーでは、航空機部品の追跡システムとしてブロックチェーンを導入し、システムを他社と共同利用することで、部品の照合にかける時間と手間を大幅に削減することができました。 また国際貿易の領域でも、多くの関係者とのやりとりが紙ベースで行われることが大きな課題になっています。ある海運企業では、コンピュータ企業との共同開発により、ブロックチェーンのプラットフォームを構築。デジタル化された書類を関係者たちがリアルタイムで共有できるようになり、業務の大幅な効率化を実現しました。このほかにも貿易取引におけるブロックチェーンの活用は進められており、貿易金融の電子化を実現するプラットフォームなども開発されています。 一方、地方自治体などで公的文書の管理への活用を模索する取り組みが始まっています。ブロックチェーンによる住民票や登記簿の管理を行うことで、セキュリティ面の強化と不正や改ざんの防止が可能となります。文書改ざん問題が取り沙汰される昨今、日本における公正な社会の構築に有効な技術と目されています。 今後もブロックチェーン技術は、あらゆる分野でさらなる活用が予想されます。
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